2026年4月1日、Cloudflareが「WordPressの精神的な後継者」として新CMS「EmDash」を発表した。TypeScript + Astroベースで、Cloudflare Workers上で動くサーバーレスCMSだ。39万表示を超えたCloudflare公式の投稿がこちら。

実際にインストールからデプロイまでやってみたので、手順と躓いたポイント、使ってみた感想をまとめる。


🔍 EmDashってなに?

PHPではなくモダンな言語で書かれている。
☁️ Cloudflare Workers上で動作
サーバーレスで高速。サーバー管理不要。
🔒 プラグインをサンドボックス化
WPのセキュリティ問題(プラグインが全権限を持つ)を根本解決。
💰 スケール・トゥ・ゼロで低コスト
アクセスがなければ課金ゼロ。小規模サイトに最適。
📖 MITライセンス
完全オープンソース。WordPressのコードは一切使用せず、TypeScriptでゼロから書かれている。
💳 x402対応で課金も可能
ネット決済の中立的標準であるx402をサポート。サブスクリプションなしでコンテンツ課金ができる。
📌 公式サイト: https://emdashcms.com/
📌 GitHub: https://github.com/emdash-cms/emdash
📌 Cloudflare公式ブログ: Introducing EmDash
📌 WP移行用エクスポーター: EmDash Exporter Plugin
公式のデモサイトでは、デフォルトテーマのブログが確認できる。シンプルだが洗練されたデザインだ。

📱 必要なもの
✅ Node.js(v18以上)
✅ Cloudflareアカウント(無料でOK)
✅ npm(Node.jsに付属)
⚡ インストール手順

ターミナルで
npm create emdash@latest を実行。対話式でプロジェクト名、デプロイ先(Cloudflare Workers)、テンプレート(Blog)を選択する。cd my-site && npm install。ここで躓く可能性あり(後述)。npx wrangler login でブラウザが開く。Cloudflareアカウントで認証。npx wrangler d1 create emdash-db と npx wrangler r2 bucket create emdash-media を実行。作成されたIDをwrangler.jsoncに設定。npm run build && npm run deploy。成功すると workers.dev のURLでアクセスできるようになる。⚠️ 躓いたポイント5つ
Windowsで npm install すると、C++ネイティブモジュールのビルドに失敗する。
npm install --ignore-scripts でスキップすればCloudflareデプロイには問題ない。
⚠️ wranglerのバージョン不一致
依存パッケージが未リリースのwrangler 4.80.0を要求してエラーに。package.jsonにoverridesを追加して解決。
⚠️ KV Namespaceの設定漏れ
セッション管理にKVが必要。作成してwrangler.jsoncに追加する。
⚠️ Worker Loaderのエラー
プラグイン機能がアカウントで有効化されていないとエラーに。設定ファイルから該当部分を削除して対応。
⚠️ 独自ドメインの設定が面倒
workers.devサブドメインなら簡単だが、独自ドメインにするにはCloudflareにネームサーバーを移管する必要がある。
🌐 独自ドメインで運用するには?
| 方法 | 難易度 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 🔧 Cloudflareにネームサーバー移管 | やや手間 | 🏆 一番おすすめ |
| 🔀 .htaccessでリダイレクト | 簡単 | △ URLバーが変わる |
| 🔗 Cloudflare Tunnel | やや難 | ○ 上級者向け |
📊 WordPressとEmDashを比較してみた
| 比較項目 | WordPress | EmDash |
|---|---|---|
| 🔧 開発言語 | PHP | TypeScript + Astro |
| ☁️ ホスティング | レンタルサーバー | Cloudflare Workers |
| 🗄️ データベース | MySQL | D1(SQLite互換) |
| 🔒 プラグイン安全性 | △ 全権限 | ◎ サンドボックス |
| 🌏 管理画面 | ◎ 日本語対応 | △ 英語のみ |
| 💰 コスト | 月500〜3000円 | 無料(小規模) |
| 📈 成熟度 | 20年の実績 | v0.1.0 beta |
| 🎯 向いてる人 | 非エンジニア | 開発者 |
🖥️ 管理画面と運用
管理画面はこんな感じ。シンプルだが、投稿の作成・編集は問題なくできる。



WordPressのように管理画面からリアルタイムで反映されるわけではない。
npm run build && npm run deploy を毎回実行する必要がある。
💰 Cloudflareの利用コストはどのくらい?
EmDash自体はオープンソース(MITライセンス)なので完全無料。お金がかかるのはEmDashが動くCloudflareのインフラ(サーバー)の部分だけだ。ただしCloudflareには太っ腹な無料枠があるので、小規模サイトなら実質タダ。
| Cloudflareサービス | 無料枠 | 小規模サイトの使用量 |
|---|---|---|
| Workers(サーバー処理) | 月10万リクエスト | 余裕 |
| D1(データベース) | 5GB / 月500万行読み | 余裕 |
| R2(画像・ファイル保存) | 10GB | 余裕 |
| KV(セッション管理) | 月10万読み | 余裕 |
🔄 WordPressからの移行方法

WP管理画面からエクスポートしたXMLファイルをEmDashにアップロードするだけ。
🔌 EmDash Exporterプラグイン
WPにインストールすると、EmDash側から一括インポートできる。添付メディアも自動移行。
⚠️ テーマは移行不可
テーマはAstroで作り直す必要がある。ここが一番の手間。
🎨 WPテーマの移行をやってみた
せっかくなので、既存のWordPressテーマをEmDash(Astro)に移植してみた。

AstroはHTML/CSSをそのまま書けるので、WPテーマのCSSをほぼコピペで移植できる。PHPのテンプレートタグ(the_title()やget_header()等)をAstroのコンポーネント構文に置き換えるだけ。
🤔 結局、使ってみてどうだった?

10分でサイトが公開できる。サーバー契約もDB設定もいらない。
📝 セキュリティモデルが優秀
プラグインがサンドボックス化されてるので、WPのようにプラグイン経由で乗っ取られるリスクがない。
💡 無料で運用可能
小規模サイトならCloudflareの無料枠で完全に賄える。
英語のみ。固定ページの編集ができない。WPの使い勝手には程遠い。
⚠️ Windowsでの開発に難あり
better-sqlite3のビルドエラーでハマった。Mac/Linuxなら問題ないかも。
⚠️ 独自ドメインの設定が面倒
Cloudflareにネームサーバーを移管しないとカスタムドメインが使えない。
📌 まとめ
EmDashはCloudflare発のモダンなオープンソースCMS。10分でデプロイ可能で、小規模サイトなら完全無料で運用できる。
セキュリティモデルは◎だが、管理画面はまだ英語のみで最低限。WPを完全に置き換えるにはまだ早いが、新規の小規模サイトや技術検証には十分使える選択肢だ。
v0.1.0 betaということもあり、今後のアップデートで管理画面の日本語化やプラグインエコシステムの成熟が進めば、本格的にWPの代替になる可能性がある。今のうちに触っておいて損はない。









